『経営者マインド』という言葉

 昨今、社員は経営者意識を持つべきだと言うお話が盛んに聞かれます。もちろんそれは営利目的に存在する企業体が同じ方向に一丸となって突き進む上では重要な事だと思うのですけれども、どうも聞いているとそういう話でもなさそうな事例がままあります。
 と言うのは、例えば経営というものがどういうものか、と言う事を考えるとそれはつまり利益を出すために行動するというものだろうと思うのですが、ならばそうする為には何をすべきか? 営業であれば受注を増やす。その為には取引先を増やしたり、取引先での自社シェアを増やしたりするしかない訳です。<<ただ、この場合営業員は無闇な価格競争に出たり、接待攻勢に出たりして、結果として営業利益がマイナスということもよくあるのですが>>では生産部門や物流管理部門では何をするか。徹底したコスト削減を行うしか道はありませんね。
 コスト削減。日曜日の朝にテレビを見てますと、そういうCMがバンバン流れます。そしてそれはあらゆる企業において大命題な訳ですね。ただ、無闇なコスト削減というのもあるんだと思います。それこそが、つまりブラック企業ブラック企業たる所以、なのです。

 現場において最大のコストは何でしょう。はい、人件費ですね。工場の海外移転というのはまさにそういう事で、正規雇用の非正規化というのもそういうものでした。ただ、それも行き着いてしまうとやはり今ここにいる人間の人件費を何とかしようと言う流れとなり、例えば8人いたのを4人にし、それで8人分の仕事を廻せ、廻せないのは工夫が足らぬ、廻らないなら残って廻せ、廻せないのは能力不足、そこに賃金払えるか! という話になってきてしまうのですけれども、どうもこの辺りを正当化するために『経営者マインド』を持てと言う会社が出てきているような気がするのですね。

 例えば、ブラック企業は外食や流通、物流などにも見られるようで、そういった所は往々にして人がどうしても必要なのですけれども、果てしない価格競争の中で人件費に手をつけざるを得なくなり、無茶苦茶になっている事例が多いように思えます。とある会社の創業者さんは昼間物流会社で働き資金をため、夜には外食産業でサービスを学び起業したそうですけれども、立身出世伝としては見ていて面白いですが、それを全社員・パートやアルバイトにも求めるとなるとどうなんだろうな、と思ったりもする訳です。何でもその創業者さんは外食産業でサービスを学ばせてもらいたいから給与はいらないとまで仰ったんだとか。熱意やその姿勢には感服せざるを得ませんが、その姿勢を従業員に求めるのはやはりどうかと思うのです。
 が、結構そういう会社というか、組織というのが多いと言うのは事実ですし、元々日本と言う国はそういう国だったのだ、と言うのも悩んでしまう所です。


 さて、ちょっと長くなってしまったので今日はここまで。
 頭が廻ったらまた明日この件の続きを書いてみたいと思います。内容的には、そうですね。日本はなぜそうなったのか、辺り。いわゆるブラックではない企業というのはそういう意味ではおそらく1960〜1990年くらいの間のほんの一時期しか存在しなかったんじゃないか、というお話です。