『欽ちゃんつんのめり』

 は、あんまり面白くなかったような気が。
 で、今日は古本屋で手に入れた『まだ運はあるか』を。(8/16の日記を参照願います)
 マグネシウムリボンの方は、萩本欽一をして『萩本欽一は、相手を「萩本欽一的不条理世界」にあっという間に引き込むことが出来る人なのだ。』と称されていたのですが、読んでみて思った事は、ごくごく当たり前のことしか書いてないよなぁ、と言う事。これは不条理ではないし、そういうものだと思う。いや、違うか。多分、それは知っている世界……今までいた世界なんでしょう。
 それは、職人の世界というものです。
 私の父は、俗に言う職業調理師というやつでした。*1その筋風に言えば、流れ板というものなんですが、そう言うと私は多分父に殴られるんですが、板前の集団を率いてあちらこちらの板場へ出向くという仕事をやっていました。んで、私が幼い頃は幼稚園の一時期を除いて父は大抵家にいないという生活を送ってました。正確には父はいるんですが、帰ってくるのは夜中、出かけていくのは昼ごろという生活でしたし、もしくはずっと旅館に泊まりこんでたり。遊びに連れてってもらったといえば、足羽川に放り込まれた記憶とか、正月に麻雀した記憶とか。(私が父親から教わった遊びは麻雀とこいこいなのです。)年に一度近場の温泉に泊まりに行くのですが、大抵父とは現地で別れる事になったり。そんな感じでいたもので、欽ちゃんの語る世界に異常性を見出せなかったというのが正直な所だったんでしょう。余談ですが、私は銀英伝の第1期を父親と夜中見てたんですよ。午前1時から3時ごろまで。自室で勉強している振りをしていると帰宅した父が大声で、『してる振りをする間が有ったらビデオ見るぞ!』と。銀英伝のほかには洋画でしたね。クリント・イーストウッドとか、初めて連れてってもらった映画はスターウォーズでした。
 時々見る北野武さんのインタビュー。欽ちゃんのそれと驚くほど似ていて。いや、きっとそうなんでしょうね。彼らは職人という事なのでしょう。
 エート、誤解の無い様に追記。いや、この本が面白くないといっているわけではないのです。インタビュアー/構成の斉藤明美さんは好きになってしまいましたし。欽ちゃんも大好きに。えーと、ここで一つ白状します。私は欽ちゃんの番組って欽ドン以外面白いと思った事なかったんですよ。せいぜい欽ちゃんバンドと黒子グレコ。ドリフもそんなに好きじゃなかったですしね。いや、小学生の頃は面白かったんですが。中学生になったら面白くなくなった。仮装大賞はもう白々しさの方が勝ってしまって。『ブラック&ホワイト』さんとか、ああいうばかばかしさのものが無くなって、『クラス全員でがんばってます!!』といったクラス参加のが多くなりすぎた。いや、学芸会を見たいわけじゃないし。それが悪いとは思わないし、それがいいと言う人がいるんだろうけれども、もう、私はいいわぁ、と。欽ちゃんも面白いとは思ってないんじゃあないかなぁ、と。
 それにしてもあれです。シネマジャックがまた見たい。結局私は4作品しか見てないんですよ。『蛍の光』と『邦ちゃんの一家ランラン』と『食べる』。あと『さだおばさん』。これをヒントに私はアニ研連で習作『街』というのをでっち上げたのですが、それはまた別の話ー。
 閑話休題。『まだ運はあるか』は、TVバラエティーとかに興味が有る人はぜひ読まれるべきだと思います。姿勢、ってもんは間違いないと。

*1:なぜ『でした』というかというと今は店を持っているからです。