職人の背中

 流れで父親の話を。
 小学4年のある日、家に帰ると父親がTVの前で横になってまして。『あれ?お父さんどうしたの?』と聞くと、『店辞めて来た』と。あんまり驚きませんでした。そしてそのあと1年ぐらいはブラブラしていて、でもなぜかご飯は食べれて、そしてある日突然いなくなる。『あれ?お父さんは?』と母に聞くと、山代温泉に行ったと。そしてその後一月ぐらい帰ってこなかったり。帰ってきたとき、父親は給料袋を持っていたので、そこで始めて勤めに行ってるんだとわかるとか。そしてしばらくするとまた家で寝てたり。
 休みの日、包丁を砥いでいる父の目が好きでした。女子高の講師に行かなきゃならんのだと朝っぱらから玄関先で蕎麦を打ってたり。『父さん行ってきます』『おぅ』顔を上げたりはしません。リズム良く動く背中。
 そういえば、一緒に撮った写真は私が大学で福井を離れた時の1枚しかありません。
 いや、それはそれでかまわないのですがね。


 当番勤務。結局電話は一本もならず、本は1冊半読んだだけで。
 空は曇り。時間感覚があやふやです。車に乗り、ぼんやりと帰路に。そういや昼食ってなかったっけ。ラーメン屋で遅い昼食。あー、お風呂屋さん行こうと思ってたんだ。……わー満員だな、こりゃ、で帰宅。