次元論(防忘みたいなもの)

 学生時代自主制作アニメの真似事をさせてもらってた頃から考えてた事で、今日も一日ぼんやり考えてたんですが、帰ってきて猫屋さんhttp://d.hatena.ne.jp/nekomurasaki/20040914の日記を見たらが『紙は2次元、本になったら3次元』とおっしゃってますので、罵声を浴びる覚悟でちょっとつらつらと。
 
 世の中にはお話(物語)の伝達方法として様々な形態のものがあります。今回ここであげるのはその中でも我々の馴染み深いもの、つまり『漫画』『小説』『アニメ』『映画』『演劇』『歌』『音楽』などを、これを伝える事が出来る……作手側が制御できる要素数で分類してみよう、という試みなんです。
 例えば、数学的な次元論というのは『点』が0次元、『線』が1次元、『面』が2次元……といった具合にある点に関わる要素がいくつ重なるかで次元という概念を生み出しています。
 で、今回はこれを仮借して物語伝達形態を分類してみようと思います。

  • 0次元

 例えば、『文字』そのものですね。『あ』とか。

  • 1次元

 『文章』。文字を編む事でその物語を伝えることが出来ます。?ただ、この場合作り手はその現実時間系や画的イメージをそのままの形で伝達する事は不可能です。また、その物語自体を固定した視点からしか描写し切れません。仮にしたとしてもそれを同一時間系の中に一度に落とし込む事は不可能。つまり、一つの文章の中では二つの事は伝えられないということなのですが、ちょっとわかりにくいかなぁ。まぁ、そんなわけで1次元。
 『絵』。写真も含みます。これも1次元的なものだと思うんです。イラストは、その瞬間を描写する事によってそのカットを伝える事はできますが、その前後の物語を伝える事は不可能。例えば、ある程度の記号を利用すれば、そこに描かれているのが親子だという事を伝える事が出来ますし、背景を書き込むことによってそこが夏祭りの現場だという事を伝える事はできます。ただ、雨の神社の境内に立ちすくむ女性とその背に負われた女の子を描いても、その一枚の絵でその意図する物語を伝える事は不可能なんじゃないかと思うのです。いや、例えばそれがすでに何らかの形で記号として認知されていれば不可能な訳ではないのですが、それは今回の思案の範囲外ということで。それはもうすでに派生ですから。実際、今の例でそれがなにかピンと来た人はいるでしょうし、だからって石投げてくる人もいるんですが。がお。
 『曲』。つまりBGMとか。歌が入らないもの。これは音色を時間系に乗せたものですが、それそのものが物語性を持つと思います。

  • 2次元

 『漫画』。漫画は絵+文章ですから、2次元。
 『朗読』。朗読は文章に『間』を投入したものです。ただ、その『朗読者の声』というモノがイメージの制御に深くかかわるので2.5次元としたほうがいいのかもしれません。声優さんによる『演技』も含みます。 
 『ラノベ』。ラノベは漫画の逆で文章+絵ですね。で、これは朗読と反対に1.5次元とすべきなんだろうなと。いかんせん、漫画は絵と文章双方を両立させる必要がありますし。それに対し、ラノベはイラストさえしっかりしていれば文章はいい加減でもかまわないように思えるのです。なんせ、絵が引きずってくれますから。偏見?そうかもしれませんが、私は『無責任艦長タイラー』を初期から読んでましたので、そう思うのです。都築さん絵のユリコさんファンとしてはなんとも口惜しいのです。えーと、『銀英伝』ってラノベかなぁ?佐藤大輔ラノベじゃないだろう。それはそれで、博物学みたいなもんになりそうなので割愛♪
 『歌』。曲に文章が乗った物。状況としては朗読に近いかなぁ、とも。むしろ3次元かなぁ?

  • 3次元

 『アドベンチャーゲーム』。ただし声無し。同じ理由から『フラッシュ・ムービー』や『アニメ』の一部も。つまり声優による台詞の演技が入らないということが条件なんですが、ADVなどは絵+文章+曲。時間系も制御できます。ただ、視点の自由度は置けないのですよね。
『アニメの一部』というのは、例えば自主制作アニメなんかがそうかな、と。曲と絵だけでやるアニメ。声の要素が入んないんで、その登場人物なりの性格を見ている人間に預ける事になるんじゃないかと。これも絵と同じである程度記号の組み合わせで制御し切れるんですが。
 『ラジオドラマ』。朗読+曲。実は視点の自由度が置けるのですね。というのは、文章の所で書いた『一つの文章の中に同時に2つの〜』という所。例えば、背景に違う情報を入れてやることが出来る。それ自体はフラッシュでも出来そうなんですが、えーと、『秋桜の空に』のドラマCDなんかを聞いてると特にそう思うのですが、前面でメインの話をやっている裏で、ガヤでまったく違う事をしている。例えば、文化祭当日、クラスの模擬店であるねこみみメイド喫茶(でよかったかな?)で主人公達が話ているんですが、その後ろでねこみみをつけたメイドが毛玉を吐いている。そんな感じ。 
 『実写』。絵ではないという点から。現存するものを仮借しますのでどうしてもそれそのものが話のイメージに合うかどうかが怪しい。だから3次元。むしろ物語の伝達方式としては劣るんじゃないかと思う事も。例えば、里見浩太郎さんの黄門様はどうも何か違うような気がしてならないのです。藤岡弘さんの和菓子職人ってのは以外にあってたように思うのですが。
 『落語』。朗読plusという感じなのか?演技が入りますので。

  • 4次元

 『アニメ』。声が入るADVも含みます。漫画に曲、朗読を載せたと考えていいんだと思うのです。で、視点の自由度もある程度置けそうなんですよ。これはラジオドラマの所。
 『演劇』。『コント』も。変かなぁ。むしろ無名な俳優さんがやる演劇とか。

 
 と、言う事で大雑把に描いてみたのですが、次元が上がれば上がるほど制作に大人数の人間が必要になってきます。で、大人数が関われば関わるほど、初期製作者の意図というのは薄まっていくんですよね。
 で、この場合の次元はその優劣を決定しません。ただ、個の技量は次元が低ければ低いほど必要なものになってくるんだと思うのです。


 今日はここまで。明日に備えて身体を休めるとします。眠くは無いですがねー。