台風来襲

 九州、四国と中国近畿に甚大な被害を与えた/与えている台風23号。夕方からここ福井も暴風圏内に入りました。
 担当地区からの帰り道、道路が冠水していたり、それでも皆制限速度+αで飛ばしていると言う恐怖。何であんたトンネルの中で停まってんねんと言うような状況。ぬれた路面に対向車が突っ込んできます。ふと川を見ると濁流が。落ちたら死ぬ。間違いなく死ぬ。デモなんで皆そんなスピードで走れんねんな?と思いつつ自分もそのスピードについて行くのですが。
 追い越し車線を走っていく車が水をはね、一瞬何も見えなくなって。会社に着くと当番以外は殆ど帰宅したとの事。やれやれ、私も帰りますか。
 帰り道スーパーによると誰もいない。いや、やってるか自信なく入ったんですが、店員さんだけがいるスーパー。貸切のような気分。浮かれている余裕はないのですが。半額に見切られたお惣菜を抱え帰ります。
 ラジオは小浜市に避難勧告が出たことを伝え、7月の水害で被害を受けた河和田や美山にも避難勧告が出ているとの事。歩道を見るとカッパを着た姉弟が歩いているのを見て大丈夫だろうかと不安になりつつ。乗せて行ってあげようかと行っても今の子は逃げていくんだろうなぁ。

 昔、嫁さんと付き合っていた頃。田んぼの中の道をてくてく歩く女子高生を見かけて。結構な雨に傘もささず。それを嫁に言うと、戻って乗せてあげようと。来た道をもどり、嫁さんが駆け出していくのを見つつ、乗るかな?と思いながらその子を見ていました。なんでも高校の部活で傘を忘れたのだとか。迎えを呼ぼうにも独りで下宿だといいます。感謝はしてくれていたようですが、やっぱりどこか硬くて。まぁ、仕方ないんですが。下宿はすぐそこですから、と住宅街の入口でその子を降ろして。なんとなく、あの通学服の濡れた匂いってのは独特な物を感じるのですが、そんな事を口に出したら変質者の烙印を押されるんでしょうね。いや、そうに違いないのですが。嫁に聞いたらそうだと言う事でしたし。

 家に帰りつき、風切り音を聞きながら夕食。ラジオをつけています。避難勧告のエリアがどんどんと増え、足羽川警戒水位を突破したとか。台風の現在位置は彦根?直撃の文字が脳裏をよぎる。テレビを見るとみのり地区が冠水。そのニュースのあと今週末は木田銀座商店街が復興祭をやるとのTVCMが。木田銀座はみのり地区なのです。なんとなく嫌な気分に。そんなこんなしているうちに河和田川氾濫の報。あそこには堤防はなかったような気が。一乗地区に避難勧告。つまりは7月の水害で甚大な被害を受けた地域が全部避難勧告を受けた形に。あ、池田は大丈夫か?などと思っていると朝日町に避難勧告。足羽川警戒水位を超え、江端川も。木田橋付近であと3mで越水だそうです。社の3地区に避難勧告。えちぜん鉄道三国線の一部や越美北線も運転見合わせ/取り止め。国道の通行止めも多数。

 江端川。通勤途中見る江端川には鴨の親子が住んでいまして、のんびりと川面を遊ぶ姿が出勤前の緊張を解してくれます。私の見るそれは河川改修が行なわれておらず、川縁は雑草に覆われ、そうですね、何か田舎の小川を思い浮かべさせるような情景なのです。そうそう、佳乃さんが遊んでる川の様なイメージと言うか。今朝は濁流でしたが。鴨たちはどこかに避難したんだろうかなぁ。7月水害を生き延びたんだからどっかに逃げている事でしょう。そう祈りつつ。
 担当地域、大野なんですがね。農家の庭先、白い手袋の猫を見ました。白黒ツートン。三毛ではありません。二毛。手足の先が白くてまだ子猫でした。両手に乗っかるような、そんなサイズで。私がその小道を車で通り抜けようとした所、その猫が道を横断したそうに菜っ葉の陰からこちらを。どうもその向こうに親猫が。子猫は私のほうをしばらく見つめ、どうしたものかという風潮。早く渡んなさいなと思いながら見つめると、威嚇なのかお礼なのか、二ゃーと鳴いた口でテッテコと道を渡っていきました。多分あの子もこの雨風の中、避難出来ている事を祈りつつ。
 今年のクマはどうも台風でパニックに陥っているのではないかとの話。読売新聞でしたでしょうか?そんなコラムを読みました。はぐれた小熊が人里へ。わけもわからず人を襲い、そして射殺される訳で。きっと心細くて、寂しくて。人を見つけて怖くなって、でも逃げることも知らずに。悲しい話です、これも。だとしたら、ですが。 

 まだ23時。関東の皆さん、ご注意ください。そちらは今からです。