空を見上げると

 月。
 午後8時50分。月末会議を終えて会社を出てみると空には月が。丸い月。まぁるい月。大気は澄んでいて、寒々とした月の光を見あげていました。明日の朝はきっと寒い。ひどく寒い夜明けとなるでしょう。

 奇跡は結局2度起きなかったようです。会議中、課長が呻く様に『あの子は出してもらえたんだろうか』と。課長は単身赴任でお子さんもまだ小さい。同席していた先輩は何も言わずに頭の後ろで手を組み遠い目をしていました。

 ですから、月を見上げる。まだあの子は車の中だと知ったのは帰り道の車の中でした。レスキュー隊員は寒くないようにと毛布を車の中に入れてあげたとか。せめて、そうしたかったのでしょう。私は何も言えません。言うべき言葉が見当たらない。いや、まぁ。確かにぶつぶつとネットの片隅で呟き続けてはいるんですが、まぁ。