状況開始

 朝起きれるかなと心配していたが、何のことは無く8時には目が覚めていた。予約してあった電車は10時の米原終点のしらさぎ56号。朝ごはんを食べ、後始末をして。時計を見ると9時。支度を整えて、嫁さんに後を頼むと部屋を出て。バス停に着くとちょうどバスが。結構人が乗っていて、それでも座れたのでボンヤリと外を見ながら。雪景色。駅前には9時40分ごろに到着。
 友人に頼まれていた『へしこ』を買おうとKIOSKを覗くと片身で320円。ただ、石川県産なので少々面白みに欠けるような気がして。駅を出て表のお土産物やさん。看板には羽二重もちの文字。『ありますか?』と尋ねると『ございます』との声。一匹漬けで1,600円。まぁ、構わないかと購入、ホームへ。
 ホームのKIOSKでペットボトルの『おーいお茶』を買い、カバンに。MP3プレーヤーを探してイヤホンを耳に。『月は無慈悲な夜の女王』を数ページ。今の気分には重い。やがてしらさぎが入線。座席は1A。パソコンデスク付きなのでモバイルギアを取り出してカタカタと文字入力。あっという間に時間は過ぎるのですがなかなか乗り物の中での入力はなれないなぁ、と少し酔い気味に。
 
 米原着、乗り換えの為新幹線ホームへ。JR西日本を抜け東海へ。待っていたのは300系。正直あまり好きではないのですが、今のひかりはほぼ300系。旧・のぞみ型車両という呼称はもはや死語だなぁ、と。
 座席に行くとお母さんが。親子連れだそうで真ん中には女の子。3歳ぐらい?席を空けてもらって座ったのですがなんとなく申し訳ないような気もして。車両の中はほとんどが家族連れ。三連休初日であればの光景だな、と。普段であればサラリーマンばかりの様に。子どもの泣き声、お母さんに甘える声。窓の外に何かを見つけて喜んでいる声。和やかだなぁ、とお茶を一口。MP3プレーヤーは『アレ以外のStay.』何か間違ってないか?とは思ったのですが『Stay. -in flaw & warm-』を入れてくるのを忘れていて。いや、実は故意なのですが。なんとなく、こっちの方が好きで。テンポと言うか声が。こんな事を言うと罰が当たるのですが、私はさくらさんのファンなのです。だから、まぁ。なんとなく。
 何か読もうとカバンの中を探って。三田先生の『僕って何?』を取り出し読み始めて。中上先生って気分ではない。あー、結局はアレか?学生運動もオウムも変わんないわけだな、じゃあ、今の運動部員の暴走やオタク文化の情勢ってのも変わらんわな、などと漠然と。
 福井を離れるほど、頭がスッキリしていく不思議。窓の外は静岡。小田原で結構人が降りて。後ろの席が空いたので『人が来たら戻りますが』と但し書きをつけた上で場所を譲って。三人掛けの通路側、多分この後人なんか乗ってこないだろうな、と思いながら。
 少し眠って。目覚めると東京に入っていて。品川、は通過か。窓の外を眺める。快晴。冬型の気圧配置だからなぁ、当然と言えば当然か、と一人納得しながら。
 東京駅。お母さんにお礼を言われる。案の定誰も乗って来ませんでしたし。広く使えたのはむしろ私の方ですから、と答える。一呼吸おいてホームに。なんともいえない懐かしさを覚える。『帰ってきた』気分。いや、私は東京には住んだ事はない。東京側にしても迷惑だろうな、と思いながら。
 京浜東北線に乗って秋葉原へ。別にどうしようと言うわけではなく、そう足が向いた。

 秋葉原駅は見違えてしまって。見覚えの無い空間。電気街口の改札前、とらのあなの広告。あー、間違いない。間違っているような気もしないでもないが、ここは秋葉原だと確認する。
 驚いたのはゲーマーズがあんな所にあって、ラジオ会館がすでにラジオ会館で無くなっていた事。ラジオデパートはそのままで安心しつつ秋月電商へ。暫く眺めてから何処へ行く気にもならず上野駅に向かって。コートは14年着ている。すでに左袖がぼろぼろになっているから新しいモノが欲しい。中田商会でも覗いていくか、と思いながら歩を進める。
 おでん種の看板、数秒、店内へ。ショーケースの中の『半月』と言うその名の通りの形をしたはんぺんを買う。私たちの言う……関西文化圏で言う所の『はんぺん』はどうやらすべて『さつまあげ』というらしい。そんなことを確認して再び歩き出す。信号待ちの間に半月を一口に。少し塩味がきつい。おでんにすれば旨いんだろうな、と。信号が青に変わり袋をポケットに押し込む。てこてこ。このあたりかな、中央通りから街並みに潜り少し歩くと松坂屋の裏、駐車場誘導の旦那さん方が東京弁で何か相談をしている。お客さんに対応するのは標準語。楽しい。歩く歩く。筋を間違えつつ路地に入り中田商店へ。良さそうな無地のコートを見つけ、一番大きなサイズのものを羽織るが着れない。ま、予測範囲内。やむなくてってこと上野駅へ向かう。丸井が改装かぁ、と見上げる。
 上野駅も変わってはいたが前回見ていたのでまぁ。あのタールと小便の臭いが入り混じった旧駅舎が懐かしいのは懐かしいが今の体調ではきっと引いていただろうな、と。
 中央口から入る。13番ホーム以上が見渡せる。左に曲がり宇都宮線という標識に懐かしさを覚えつつ昔どおりの通路を歩く。山手線ホーム、ボンヤリとしていて乗ったのは外回り。何してんだろう、俺、目白に行くのに。秋葉原の街並みを再び。

 目白駅
 改札を出て左手へ。薬屋でくしを買い、ホテルにチェックイン。時計を見ると1545。1630集合だったよなぁ、と髪を濡らさない様にシャワーを浴びる。寝癖が気になる。もっと早く気にすべきだったのだけれども、もう一度髪を梳く。どうにもならずもう一度シャワーを。石鹸で頭を洗い、ドライヤーで乾かす。シャワーを出て服を着つつ携帯を見ると着信が2件。K氏とT氏。K氏は当然繋がらず、T氏に電話をかけると今何処?との事。ホテルだと告げると唖然とされる。集合時間は1545新宿。えーと?あれ?思考がまとまらない。焦りはまったく無い。申し訳ないとは思うがそれ以上の感情は沸かず。あー、これが抗不安剤の効果かと思う。装備を確認、カバンにはへしこだけを残し鍵を手に部屋を出る。フロントで新宿への最速移動法を聞くとやはり山手線という事。携帯でぐるナビにアクセスして新年会をやっている店の地図を呼び出しつつ駅へ。