抹茶と足羽山 (mixiより転載)

 時々ふと抹茶が飲みたくなります。
 学生時代、懇意にしていただいていた化学の先生はお母さんがお茶のお師匠さんだったとの事で研究室を尋ねると薄茶を良く振舞ってくださいました。一人で行くと濃茶を出してくださったりもしたのですが、なんとなく幸せだったなぁ、と思い出すことがあるのです。
 うちの父母、嫁さんは煎茶は習ったらしいのですが、抹茶はやっていないと言う事。時々春や秋に行われる野点茶会などの広告を見ると行って見ようかなぁ、という気にはなるのですが、大概ああいう所はご婦人のものであってアキカジなキモオタが行くには場違いこの上ないのだろうと。
 そういえば、高校時代の学園祭。茶道部に一緒に生徒会の裏方をやってた子がいて、着物姿のその子に手を引かれお点前を頂いた事もありました。別に好きとか嫌いとか、そんな感情は無かったんですが、私とその子しかいない教室、茶せんでお茶を点てる音だけがして。不思議な空間だったなぁ、と。
 時々家でやってみようかとも思うのですが、多分それは別物になってしまうのでしょう。あれはお茶を飲むのではなく、その空間、時間を楽しむものなのでしょうから。日常にそれを持ち込んでは、それは非日常への鍵ではなくなってしまう。そんな気がして。
 
 で、日ごろ抹茶を飲むにはどうしたものかと。
 駅前の『笹屋の二階』という喫茶部か足羽山の茶道博物館ぐらいしか思いつかないのです。
 『笹屋の二階』は笹屋というお菓子屋さんの駅前店なのですが、その二階が喫茶部になっていてそこでお菓子とお茶が飲めたのです。駅前勤めのとき、早めにあがれた時など時々行ってました。店員さんは一階の売店の人が兼ねてらっしゃいましたので結構バタバタとした所だったのですが、不思議と落ち着けて。大和田の菓秀庵にもそんなコーナーがあったような気もしますが、あそこに私は場違いだろうなぁ、などとも。
 あと、足羽山の茶道博物館。
 足羽山は、福井市街のど真ん中にある山で、西側が霊園、東側が公園になっています。上り口によってまるで意味が違う山というのも妙なものなのですが、春は桜の名所、夏はお盆でお墓参り。そんな場所です。
 で、その公園側、有楽町から続く愛宕坂と呼ばれる上り口は延々と階段になっていて今でも数店のお茶屋さんなんかがあったりして往時を偲ばれるのですが、多分その辺に茶道博物館もあるんじゃなかったかと。……調べましたら正式には福井市愛宕坂茶道美術館と言うそうで。橘曙覧記念文学館の向かい。あんなところにそんなスペースあったかなぁ……私はてっきり移転した郷土歴史博物館の跡地に建っているものだとばかり。あー、雪印事件やBSE騒ぎでつぶれた料理屋の跡地か?などと勘ぐって見たり。
 閑話休題。で、そこのサロンでは確か抹茶を飲ませてくれたはずなのです。美術館であれば、袖の擦り切れたコートの中年が行ってもそれほど浮きもしないでしょう。
 やっぱり、足羽山は一度登っておかなくちゃ、なのです。
 たいてい物事を決めるときには足羽山に登って市街を眺めながら、でしたし、私が理系を目指す理由になった博物館もあそこにありましたし。
 今日は月曜で公共機関は休みなので、明日行って見る事にいたしましょう。たぶん雪でしょうが。
 ……あれ?こないだも同じような事を言った気も。