米原〜福井 419登場

 米原駅に到着。どっと人が降りる。井筒屋さんの売店のお姉さんが若い。軽い空腹。ステーキ弁当にしようか?おかかごはんも悪くはないかなどと思いながらJR東海エリアを抜ける。北陸線ホームへと回り、時刻表をチェック。次の普通は福井終点である事を確認し、人々と反対方向に並ぶ。そこで井筒屋さんの売店のおばさんと目があった。『これがおすすめ』というお弁当は『湖北の四季の味めぐり』。写真をみるとそれは大阪水了軒の「かのんかのん」の様な感じで鴨パラストミに惹かれて購入。おばさんの『熱いお茶はいかが?』はさすがだなぁ、と思いながらお断りして入線して来た電車へ。車内電気が点灯してもドアは開かず。前に並ぶ人がドアを開けて入っていくのに続いて乗車。プレートには『419』の文字。あぁ、419系か。
 419系寝台列車普通列車に改造したと言うある意味魔改造な電車で、座席上にある寝台が特徴。もちろんそれは取って付けたような金具で展開できないようになっており、簡単な改装で復元可能な雰囲気を醸し出しているのがなんともいえず。広いような狭いような微妙な空間、他の列車と比較すると狭すぎる乗降口が時代を感じさせてくれる訳で、一部からは呪恨の対象ともなっている存在。私個人はさほど嫌いでもないのですが、確かに妙な事この上ない編成に一瞬呆然としてしまうと言った方が正解なのかな?などと。発車まで随分あるのですが、弁当を開き食事を。

 ……419で弁当を喰うというのはある意味貴重な経験かなとも。やりたくないというのも確かな所ではあるのですが、せめてもの救いはトイレが遠かった事。
 お弁当は可も無く不可も無くの無難な幕の内と言う印象。鴨パラストミは思った通りの味で美味。ご飯も白飯・散らし・栗おこわ・太巻きと4種類、その他8種類ほどのおかずで計12種類の味が楽しめるというもの。焼き鮭、天ぷら、パラストミ。牛時雨煮に柿の実を模した和菓子。ちょっとステーキ弁当が恋しくなったり。発車前に食べ終え、空容器をカバンに入れMP3プレイヤーを起動、文庫を開きました。

 南ベトナムには4つの勢力。政治家・将軍・仏教徒にベトコン。前者二つは私腹を肥やすに熱心で、後者二つは国の民主化を望んでやまない。共産主義は仏教を否定するのでその両者は相容れず、協同する事はないとの事。103ページまでの情勢はそういう示唆だったのですが、現在のベトナムに仏教は残っているのかなぁ?などと。インドシナ戦争の詳細も調べないとねと思いながら。

 長浜を過ぎ湖北路を走る419。駅の看板には『北へ走れ!新快速』のスローガン。湖西線北陸線敦賀までの直流化は来年には工事が完了するとの事なのですが、そのほとんどは滋賀県内であり、福井県は一部。それに対して費用負担支払い比率が50:50と言うのはやはりどうかと。確かに敦賀は新快速投入を受けて京阪神の旅客増加を見込めるのですが、真の受益者はやはり滋賀県民なんだろうなぁ、とも。その辺り、折半でも推進すべしとした福井県を責めるつもりも無いのですが、やられた感はあるよな、と。近江官僚群は夏の陣でも滅びず。浅井の恨みをここで晴らしたのかしらとも。湖北住民にとってみれば福井県民〜特に嶺北の人間は信用できないだろうなぁ、とも。朝倉が雪に退却した理由も勘案して欲しい所なのですが、それは雪国の人間で無いと理解も及ばないのかも。景色は福井へ向かうに従い雪化粧から雪原へと移り変わって行きました。

 敦賀を越え、今庄へ。完全な雪景色。並行して走る北陸道の車列はそれが高速とは思えないスピードで。ただ、いつも不思議なのはなぜ上りだけが混むのか?下りはスイスイなのですが、これって上り車線が山に近いからなのか?などと考えてもみたり。毎年あるパターンは武生でチェーン規制を行いそこで渋滞、検問を抜けた車がチェーンを外し、真の難所である今庄で立ち往生して不通となるというパターンなのですが、なぜチェーンを外すのか?北陸道封鎖で国道8号に流れた車も同じ事をやり武生〜敦賀が麻痺をする。3年前は2日間動けない車があったんだとか。ドライバーは融雪や除雪の不備を訴えるのですが、自分達の情報収集の甘さについては無反省なのかと。地図をみればそこが交通の難所〜道は山間部を縫うように走り、海へと開口部を持ったその谷は一旦寒気の侵入を受ければ深い雪原となる。そこに立ち往生するトラックがあれば救出するにも渋滞や、救難部隊の能力を遥かに越えた被災者でその作業は難航する。時々敦賀インターへ上る坂道で立ち往生するトレーラーの話なども聞くのですが、福井は雪国と言うイメージは無いのかなぁ、とも。姉川の戦いで雪に撤退した朝倉はこの辺りを知っていたのだろうと。雪が降れば木の芽峠を越す事など不可能。補給の絶たれた朝倉は兵力としての存在を失う訳で、また雪を見た足軽達は郷に残した妻子が積雪で家が潰れて死ぬやも知れんと浮き足立つでしょうし。壊乱するのは練度不足と言われるかも知れませんが、そもそも人は国の大事よりも自分の手の届く事の方が大事な訳で、それがまず確保されずに大事なんぞに望めぬ訳で。

 そんな事を考えながらぼんやり2時間。到着した福井もまた雪の中でした。