そう言えば、

 私は正規雇用を受けてる身ではありません。

 現在在籍しているのは実家の店ですし、仕事をしているのはまた別の店で。健康保険などは実家の店で入れてもらっているのですが、雇用保険等が不明。私は実家の事業主の息子な訳ですが、一時的に別に暮らしているので雇用保険や労働保険に加入する資格があるかすら不明。多分税理士さんの方で考えてもらえるんでしょうが、更なる問題が。


 それは、給与がないという事で。


 現在実家の店は休業中の為収入はゼロ。家族経営でしたからこれは雇用保険適応外である上に誰も解雇されている訳ではなく、また給与についても契約がある訳ではないのであいまい。これが個人事業のあやふさなんだろうな、とも思うのですが、ずーっと見ていてこれは何もうちだけの問題ではなくて業界全体の慣例による様で。

 因みに、労働基準法や派遣法なんかでは調理師は枠外におかれています。これはつまり板前や司厨士と言う仕事が従来から『徒弟』制であり、見習いは正規の職人でない訳で、見習いである以上手弁当でも文句が言えない立場であるという点にあるのでしょう。実際、うちの親方は生活が出来ない若い衆を下宿させたり、ホテルと交渉して寮を作らせたりして小遣い程度の給料でもやっていけるようにしていたそうで、また、親方の仕事とはつまりそう言うものであるらしいのです。で、ありますから現在の若い経営者はこの雇用体系のメリット〜板前は正社員ではない≒限りなく個人事業主に近く、また時間給ではなく成果報酬制に近いものがあったので……より正確には口約束であった為、そのあたりをうまく転がしているような気配。聞き話ですからあんまりいい加減な事を言うとアレなのかも知れませんが、ともかく私の前途は明るくはないのは確かだそうで。

 だから、徒弟制が崩れるのですよね。調理師学校が崩したのかもしれませんが、まぁ、普通調理師を目指す人は調理師学校へ入り、2年間の教育を受け一人前になったつもりで現場に投入され、朝ははよから調理場に立ち、夜は夜中まで仕事。で、嫌になったり倒れたり?調理師から外食産業の店長になると言うのは稀な話でしょうし、そもそも調理師という職域が要らなかったり。それでも手に職だという事で調理師学校は満員。医者は儲かると言う幻想と同じなんでしょう。*1大工さんだって、伝統工法をやってる所と言うのは少ないですし、そもそもその職人を育てる余裕がない。これは極端な安値追求のお陰でありとあらゆる所が近視野的に動いているからでしょう。情報系技術者の使い捨て問題や製造現場での2007年問題なんかもすべてこのあたりに集約される訳ですし、もしバブルがあってもなくてもこれはきっとそうなったんでしょうね。*2

 とにもかくにも、たぶん私の修行は今月一杯で終わってしまうようですし、どれだけのものを吸収できるか?また勝負の始まりです。

*1:医者が儲かると言うのはそもそも医者の子しか医学部に入れないからであり、また、実際救急や病院勤務、町のお医者さんに至るまでその労働条件は過酷であり、あれは命や精神を削って金を貰っているのではないかと思えるほど。昨今は改正されましたが研修医は薄給で連続当直勤務でもしなければ暮らせないという状況があったそうですし、もし医療ミスがあったらボロクソに叩かれる訳ですし、うらやましい職業ではないですやね看護師さんにしても薬剤師さんにしても。

*2:SONYの落日という話はSONYが製造業である事をやめた所≒技術で食ってた会社が技術開発を放棄した所にあるのでしょうし、これはシャープを見れば一目瞭然だと思うんですが……、ちがうかな?