メモ iPS細胞について。(mixiより転記・改変)

 拙速と完全、と言う話なのかな、と。
 ウィルコンシン大がiPS細胞*1を発表した件について、これは先陣争いだったのでしょう。脱分化にガン遺伝子を使用、ベクターにも危険なウイルスを使用したという技術はそれ即臨床応用とはいかず、京大山中教授はそのウィルコンシン大が発表したと同時に人iPS細胞の作成成功を発表、その後まもなくガン遺伝子を使用しない作成法を発見と発表した所を見ると、そう見えるんですね。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071210-OYT8T00074.htm
上記読売の記事。
山中教授は少なくとも世界では6つの研究室がiPS細胞を手にしていると語っておられて。それはつまり、iPS細胞の作成が可能という意味なのでしょう。今回のハーバード大の発表がそういう意味であるとも。

ウィルコンシン大は新生児の皮膚、京大は市販の研究用成人皮膚細胞、ハーバード大は成人男性の手のひらから採取した皮膚細胞。新生児細胞というのは基本的に脱分化が容易と考えていいのでしょう。研究用細胞は当然継体培養がなされているので、ひょっとしたら脱分化に近い状態にあったかもしれない〜って、そうしたらES細胞だのiPS細胞だのという騒ぎにはならんのですが。で、ハーバードの研究は臨床に近づいたとの報。
 個人的にはMITがiPS細胞でマウスの貧血症を改善という話が興味深い。

 アメリカ人てのは、そういう意味いおいて、すごいと思ったことを素直に受け入れるんですね。たとえそれが他国発の技術でも。光ファイバーしかり、八木アンテナしかり。機甲部隊での戦闘団運用法なんてもう泣けてきますな。
 外交的にはゲシャポコだったという夫クリントン氏。彼の功績は科学分野で特に大きかったと思います。ヒトゲノム解析計画。あれは結果潤沢な資金を得たベンチャー企業の一人勝ちと終わりましたが、日本はアレからなんら教訓を学んでいないような気も。
 当時、遺伝子医学学会?が福井で行われて、その一般公開講演で立花隆氏が『遺伝子研究は危険だ!我々は常に監視していかなければならない!』と叫んだのを聞いて席を蹴って帰ろうかと思ったのを思い出します。早い話、あれは就職活動だったんでしょうね。あと、学会を開いた事務局の人はずいぶん肩身が狭かったんじゃあなかったかな、とも。
 今回のiPS細胞の件。日本はやはり人材・資金の投入でまだまだ遅れを取っている気配で。ES細胞の様なガチガチの規制をかけようという様子はまだありませんが、遺伝子組み換え作物の一件を思い出しますと、まだまだ油断はならんのでしょう。週間金曜日あたり、左派ナチュラリストあたりが何を言い出すか。

 人の死の上にしか成り立たない心臓移植をもうしなくてもいいかも知れない。
 その可能性に日本社会が賭けてくれる事を祈りつつ。消費税ていどしか払えていない非国民は思うわけです。

*1:そういや、iPSのiだけなんで小文字なんだろうね?