めめん・と・もり

 話していて思った事は、日記を公開していると自分の近況を話す必要が無いという事。
 なんだか妙な気分にもなりながら、昔、まだ色々と夢見ていた頃を思い出し。そういえば、あの頃の計画では私はすでに奨学金を完済して、一生の仕事についていたはずなのです。ですがまぁ、現状を見るとどうもお寒いばかり。せめて続けているのは文章を書くこと程度なのですが、それだって趣味の域を出ていない。文章で食べて生きたいと思うけれども、行けるほどの実力があるのか。試してすらいない、いや、試すだけのものを書き切っていない。
 うん、まぁ、うん。ちょっと唸ってみたり。
 時々思い出すのは友人らの事で、それぞれがそれぞれで懸命に。私はどうだろう、と考えてみようと思ってもちょっと怖くて足元も見れないでいる自分に気がついて寂しくなったり。
 嫁さんと、猫の寝顔を見ていると、頑張らなきゃなと思うのですが、何のために?とも思ってみたり。どうせ死への往道。いや、生きている事の意味を見出すべきなのですがね。
 いかんいかん、薄暗くなってきた。
 死を思って生きていくのは大事だけれども、それに取り込まれるのはダメでしょうね。
 生とは道行、死はゴールなのだと思えば、そこへたどり着くまでに精々何かを残さなければならない。あの子はあの子を救ったんだと思うし。死んだ後輩はどう思ったんだろう。彼は死ぬ間際まで意識があったはず。もう1人の後輩は、自分が死んだ事、死んでいく事を認識できずに死んでいったんだと思う。前者は電車事故、後者は心筋梗塞でした。京福電車は仇なのですが、もう無くなってしまいましたし。食紅は身体に悪いのは知っていますが、何をいまさらとも思うのですよ。
 私に『情報戦』というものを教えてくれた先輩は、今の私の歳になる前に死んでしまいました。
 自殺とも聞き、心臓とも聞き。真実はどうでもいいのですが、ただ、あの人が今いないということだけは事実なのです。高校の先輩だったのですが、大学に行ってからは色々あって疎遠に。いや、むしろ避けてたなぁ、と。貰った扇子は返してませんので、私はまだあの人の揮下のつもりではいるのです。だから、あの人のことを『弱い人』だとか呟くのを見ると腹が立つわけで。知った風な口を叩くな。お前だってあの人の下にいたんだろうが!そういっても、彼は何のことだと思うでしょう。そんな事、思っていたのは私だけだったんだろうな、と。だからもう、扇子を返す事も出来ませんし、ならばもう、あの人の配下のままにいればいいな、と。
 彼の人は、何かを成すことを夢見て、自分が何も成せずにいると絶望したのだろうと。
 配下の私も、同じ道を歩いているような気がします。ただ、まぁ、死ねない理由がありますし、死なないでいつか死ぬ日を夢見て生きていくのかも知れません。
 それまでに、何か成さなきゃ、とボンヤリ思いながら。

 だから、私はあなた方を尊敬するのです。少なくともあなた方は何かを成した。
 だからこそ、自分も何かを成さなきゃとあがくのですが。いつかきっと、自分があなた方の一員である事を示すために。
 それはそれで、汚い話だとはわかってるんですがね。

 
 書いてて思ったんですが、『レッドサン・ブラッククロス』(佐藤大輔・著)に登場する小笠原少佐(『死戦の太平洋』2巻pp136-137)や上村彦之丞中将(日露戦争・第2艦隊司令)はどう思いつつあの場にいたのかなぁ、と。小笠原少佐は架空の人物ですから聞き様が無いけれども、いや、モデルがいるかもしれないけど、上村中将は何か読めるかもしれないなぁ、と。

 さてそれではまた。