蕎麦の話

 福井で蕎麦といえばおろし蕎麦と相場が決まっているのです。
 おろし蕎麦とは、大根おろしをかけた冷たい蕎麦で、大体2杯で1人分。蕎麦は黒く、東京で言う田舎蕎麦なんですが、ちょっと太めの物が私は好みです。で、こちらではお祭りやなんやでよく食べまして。母方の田舎にお盆に行くと必ず出された物です。一乗谷なんですが、朝倉氏遺跡の前にあったバラックのような食堂からとった物でしたが、それが美味しかったのです。
 高校の頃、生徒会なんかで仕事をしていて。学食が休みなんかだと近くのそば屋さんからなにか取るのですが、おろし蕎麦を頼むと器に蕎麦と花かつお、ネギが載ってるのが来て。ダシは別に大きめのどんぶりに入ってきまして付属のお玉で適当にかけて食べる、と。
 ただ、考えて見ると今でこそ越前そばと言えばおろしそばという事になってますが、武生や今立、南条・今庄。池田に大野、勝山。福井の笏谷そばはおろしそばというより甘エビの天ぷらざるを売っているイメージがありますし、大宮亭の売り物はジャンボ海老天。足羽山の上に行けば更科そばを売り物にしている店もありましたし、きょうやさんも更科です。
 父親から聞いた話、おろし蕎麦とは結局米を作ったあと自分たちが食べる為に作ったそばを打って、そこに大根おろしをかけて食べたのが始まりだろう、とのこと。貧乏だったって証拠だろうと。小麦を作る余力はなかったようですし、そういうことなのでしょう。うどんを作ってる所は裕福、蕎麦を名物にしている所は土地が痩せてるか、米を取られて貧乏な地域だと。
 まぁ、それはさておき。そんなせいか、福井ではあんまり真剣にダシの研究がなされてなかったような気がします。大体そばと言えばおろし蕎麦なのですし、そこには花かつおをかけるのですからおろしダシ自体にはそれほどだしが効いてなくても行けそうで。ただ、そうするとざるそばが不味いという事になるんですね。

 ここで一つ。福井に『もり』や『せいろ』はありません。最近は鴨せいろをする所とか、出てきましたが東京の方で言うもり・せいろという形態はないのです。で、そういったものが食べたかったらざるを食べるしかない。ただ、のりの風味が邪魔だという人にはもう乗せてこないで下さいとお願いしてもらうしかないわけで、仮に乗って来ても仕方ないと思って食べてもらうほかないのです。
 福井のそばと言えばおろしそばなのですから。

 閑話休題。で、私が好きな蕎麦屋さんは『吉兆』さんと『そのじ』さんです。吉兆さんでは天ざるですし、そのじさんでは天ぷらそばです。あと、金津の『彦亭』さんの汁物も好きです。
 ざるがいい所はないなぁ、と。いや、吉兆さんのざるは好きなんですが。あと、名前を度忘れしたんですがピアのそばのところ。最もそこは親子丼がお勧めなんですがね。
 昨日、初めて丸岡の大宮亭に行ったのですが、頼んだのは『そばごのみ』というやつで、小さな鴨そばにおろしとろろそば、あと天せいろがついて1580円。天せいろのつけダシは良かったです。鴨はちょっと分厚すぎたのと汁にモロモロが。美味しかったんですが、ちょっとなぁ、と。考えてみると、多分素直に汁に鴨を入れて炊いたんだろうなぁ、と。ローストした鴨を温めた汁に入れるって手があるだろう、というのは父親の話。つみれも入ってたんで、味は良かったんですが。次行ったらざるそばを頼もう、と。
 きょうやさんは、会社の先輩曰く『てんぷらがいい』。いや、そばは?と聞くとうどんが旨いと。鴨せいろはちょっと私の好みではありませんでしたもんでもう一年も行ってません。*1

 参考に福井のそば屋さんのHP。麺類組合のHPなのですが、ご参考に。http://www.fukuimen.com/
 そういえば、日本料理は日調と職調。フランス料理は司厨士協会。何で麺類は同業組合しかないんだろう?あ、暖簾会があるか。寿司も寿司商組合だなぁ。……全国組合はすし商生活衛生同業組合連合会になるのか。そば屋もかー!うどん屋とラーメン屋の立場は!!http://www.nichimen.or.jp/


うわ、2時だ。寝なきゃ寝なきゃ。

*1:一年ぶりに行ったきょうやさんの鴨せいろはずいぶんと美味しくなっていました。詳しくは下記をご覧下さるとありがたくあります。http://d.hatena.ne.jp/kyokusen/20041120