正しいバナナの食べ方

「ただいま、ハンバーガー買ってきたぞ」
「待ってたよー」
 ハンバーガーを手に帰り着くと水緒はいそいそとお茶の用意をし始めた。インスタントコーヒーを入れ、折りたたみテーブルを出す。俺はテーブルの上にハンバーガーの入った袋を置くと、服を脱いだ。シャツとパンツ姿、よく考えると水緒はよくもまぁ何も言わないもんだ。
「じゃあ、食べようか」
「ほい」
 袋の口をあけ、水緒はしばらく無言だった。
「どうした?」
 尋ねると、水緒はニヤーと笑いながら俺に袋を差し出してきた。袋を覗き込む。ポテトが散乱していた。
「まぁ、あれだ」
 俺は何も言わずに袋を破った。立体だった袋が平面になる。その上に散らかったポテト。
「大雑把よねー」
 水緒が笑った。
 ハンバーガーを食べる。喉に詰まる。シェイクを飲む。……何の解決にもならない。しばらくこらえると楽になった。ダメだ、何か飲み物……。
「お行儀悪いよ」
 立ち上がろうとすると水緒はじと目で言った。いや、俺のカッコがもうすでに行儀悪いだろう。俺は仕方なくまた座った。
「そういえば、ハンバーガーって食べ物自体お行儀のいい食べ物じゃないよね」
 水緒が食べ口を眺めながらしみじみと言う。えーと、お前口小さいのな。
「いや、行儀のいい食べ語ってのを昔聞いた事がある」
「どんなの?」
 俺はまずハンバーガーを一口食べ、その両方に残った歯形の部分を食べた。食い口は直線になる。
「こんなん」
 水緒は呆れた様だった。
「でも、フォークとナイフでハンバーガー食べるって想像出来ないよね?」
 俺の労苦は無視ですか?あれ、アメリカのハンバーガーってでかくてフォークはいるんじゃなかったか?
「バナナはかぶりつくとマナー違反で、フォークとナイフで食べるってのも変よね」
 話が飛んだ。シェイクが少し飲みやすくなっていた。俺はふと思った。
「あ、バナナの正しい食べ方ってのはな……」
「うんうん」
 水緒が何か乗ってきた。俺は話を続けた。
「あれだ、街角で食べて、皮は歩道に捨ててそっと物陰に潜むんだ」
 水緒がニヤッと笑った。
「いいえ、バナナの正式に食べ方は針と糸が必要なんです」
 俺は思わず噴き出してしまった。水緒は汚いな、と一瞬表情を曇らせた。
「もしくはラップと割り箸、冷蔵庫が必要です」
 チョコレートはつくのかな、と俺は思った。
                            つづく

 で、食べ終わってから会社へ。
 コーヒーが飲みたくなったんですが、帰りに喫茶店へ行く事にして仕事を。データ入力と資料をまとめて小一時間。当番勤務の人たちに手を振り喫茶店へ。松屋の裏の茜屋さん。ブレンドを頼んでボンヤリ。ひとり分のネルドリッパーで400円で2杯分出してくれるんです。女性二人が先客で旅行の写真を見ながら話してまして、なんとなく話が聞こえてしまうので新聞を読みつつ。灰皿があるんでタバコを吸っても構わないんでしょうが、女性がいるので吸いません。こんな時、タバコが吸えたらなぁ、と思いながら夜空を仰ぐ人がいたなぁ。とりとり。
 ほどなく出されたブレンド。一杯目はブラックで。二杯目は砂糖を入れて。……入れなきゃ良かったと後悔。味がわからん。

 少々悔しくなりながら、駅前方向に車を走らせます。蕎麦の話を書きたかったので、ちょっと確認の為放送会館地下の吉兆さんへ。車を中央公園沿いの露天コインパーキングに入れて放送会館へ。階段を下りるとそこにはミニ四駆のコースがあって子どもが遊んでました。まだやってるんだなぁ、と。隣が模型屋さんで、あとで覗いてみようかと。
 吉兆さんに入って週刊誌を一冊選んで席に。天ざるとざるは150円しか違わないんです。悩んだ挙句、天ざるを。文春の不祥・宮嶋さんの写真を見ながら。検事さんの記事を読んでいるうちに蕎麦が。ダシはちょっと甘めなんですが、私はここの味が好きでして。