色を塗る男

 青年が道を歩いていると、道に青いペンキを塗っている男に出くわした。青年はその道を通りたかったのだが、男はペンキが乾くまでダメだという。怒った青年は男になぜこんなことをしているのかと尋ねた。すると男は不服そうな顔をして言った。俺はみんなの為に道を青く塗ってるんだ。俺は皆の為にやってるんだ。それを邪魔するとは何事か。そういって男は持っていた青ペンキを青年にぶっかけた。
 青く染まった青年はこれ以上その道を進むことを諦め別の道を進んだ。するとそこでは女がピンクのベールを持って待ち構えていた。ちょっと通らせてくださいと青年が言うと、女は青年の姿に憐憫の情を示して、このベールをまとえと青年に言った。いや、ピンクは恥ずかしいから勘弁してくれと青年が言うと、女は怒ったように言った。私はこのベールを皆にはおってもらうのを生きがいなんだ。ピンクは何より可愛い。私はあなたの為を思ってやってあげているというのにそれを拒否するとはあなたはなんて無礼なんでしょうと青年の頬をぶち、なきながら去って行ってしまった。
 青いペンキを塗られ、ピンクのベールを羽織らされた青年は仕方なく元来た道を帰った。