初詣へいってきました(mixiから転載)

 晴れていました。
 駅前の佐佳枝社さんへ行こうとバスに乗って。ちょうど良くバスも来て、のんびりと。少し動悸もするのですが、まぁ、バスは基本的に好きな乗り物なのです。
 佐佳枝社さんは今はきれいになりまして、再開発ビルの2階部分に境内があるのですが、昔はおやかた地区(漢字は忘れました。親方でないのは確か御屋形だったような気もしますがあえてひらがな表記。はるかさんの絵はきれいだな、と。それはさておき)と言う場所で、佐佳枝社さんの境内に魚の仲卸だの、花屋だの、なんだのかんだのがバラックで立ってたという地区で。福井市最大の歓楽街、今は落陽著しい片町に物資を供給する一大拠点だったのでしょう。当然そんなものが市街地の、しかも市役所に隣接してあるってのがお役人さんの目触りだったらしく、真っ先に再開発されてしまいました。
 私は、父親が板前だと言う事もあって時々そこには連れて行かれたのですが、大体1mもないような通路……しかもその通路のど真ん中には溝があって……その両脇にさび色の建物がびっしりと立ち並んでいた様に記憶しています。あの日は確か父親が店を辞めてゴロゴロしていて、何かの拍子に寿司を握ると言い出したのだったと思うのです。弟が食べたいといったのか、どうしたのか、経緯は忘れてしまいましたが、それでネタを奪いに(買いにではない)魚屋へと連れて行かれたのでした。まず、父親は仲卸の事務所〜これも3畳ほどの掘っ立て小屋にいた若旦那に挨拶をしに行きました。夕方でしたから店員さんは皆配達に出ていて、若旦那しか残っていなかったんではなかったかと。で、父親はそこで若旦那がすっぽんを煮ているのを見たのです。
「なんや、これ。何の修理もせんと煮たんか?」
 そんな感じのことを父親がいいました。修理とは、食べれるように内臓を抜くとか、そういった意味です。
「ああ。大旦那が元気がないからぶつ切りにして煮たんやけどあかんかったかな?」
「おめ、こんなもん食わせたらなお悪なっぞ」
 そういってしばらく何かゴソゴソしていました。何をしているのかは見えませんでしたが、おそらく調理作業でしょう。若旦那は父親に『おやっさん、ありがとう』と言っていました。それをネタに、私たちは魚屋の冷凍庫からマグロのさくとはまちかなにかの片身を手に入れることに成功しました。

 遠い昔の話です。今から20年以上前。思えば遠くに来たもんだ、などと思っているといつの間にか駅前についていました。テコテコと佐佳枝社へ。参拝客が一杯で階段にまで列があふれている始末で。ここまで来たのだからと一緒に祭ってあるお稲荷さんにだけ参って。さて、と。では柴田神社へ行く事にしましょうか。佐佳枝社が松平公を祭っているのに対して柴田神社は柴田勝家を祭っている神社で旧繁華街の元町の奥に所在します。前回詣でた時は北の庄城発掘調査が行われていて神社の境内は大丈夫かおいと言うほど荒れていたのですが、今日行ってみるときれいになっていて。お参りして、ずいぶん悩んだ挙句におみくじを引くと『大吉』。『病気:治る。気に病むな』えーと、知ってる。気の病やし。ざっと見て良い事ばかりなので持って帰りたいな、でも結んでった方がいいのかな、良いのは結べって説と悪いのは結べって説があったな、どうしよう、などと悩んでいたのですが、思い切って社務所で聞いてみることに。社務所にいた小太りの茶髪のお兄さんは親切で『どっちの説もあるし、心持次第でしょう』と言って下さったので持って帰る事に。しばし北の庄城址を見て帰路に。
 バスの時間は30分あって。んならばあるいて帰りましょうか。食欲はないけど『たいやき』なら食べれる。萌えとは偉大だなぁ、と一人クススと笑いながら京福バスターミナルへ。京福商事はお休み。残念、鯛焼きゲット出来ず。なんだろう、普段なら使わない用語がポンポン出る。仕方がないので上京する際の高速バスの料金を見て。往復1万5千円。JRの一万円引きかぁ、と。ただ、深夜バスが地獄だと言う事は秋葉さんの日記を読んでも、自分でも良く知っているので悩みながら。テコテコ。
 佐佳枝社さんの前を通って片町を抜けていきます。猫の鳴き声に目をやると魚の仲卸屋さんの前で虎縞の猫が。えーと、2日待て。後2日。それまでどっかで食いつなげ。その向かいには銭湯があって。なぜか入ってみようかと言う気に。
 福井湯と言う銭湯なんですが、番台に座っている女将さんは芸者上がりじゃないのか、と言うような着物の着こなしでピシリと。そこは呉服町という元々福井の主力産業だった繊維関係の商社や着物問屋なんかが集まっている所だったので、普通の町屋の人でもそうなのかもしれないな、と。お湯は職人さん向けのような温度で。あちぃあちぃ、と呟きながら。来ているお客も駅前の旦那衆ばかりのようで、郊外店舗の話とか、そんな話がちらほら。ピアの再開発とか、どうなったんだろうなぁ。
 体を洗っても一回入って最後に冷水をかぶる。瓶ジュースを一本飲んでとっとと出て行きます。女湯のほうからは世間話。まぁ、銭湯はこういうのが楽しいな、と。
 風呂上り、猫は流石にいなくなっていて。
 帰り道、思い立って福井大仏と東別院を参って帰ってきました。東別院は境内に入れたので焼香させてもらってナンマンダブナンマンダブ。あれは言っている内に止まらなくなるのです、私。延々とナンマンダブナンマンダブと。唱えている間は無心になれて気持ちがいいですし、思わず毎日朝通ってみようかなどとも。
 なんだかんだと4軒はしごの初詣。今年が良い年であれば良いのですが。


 えーと、今日はもう寝ますー。くたびれたー。